REView Housing guide

NikonフラッグシップモデルZ9を継承するスペックを持ちながら、体積比で約30%小型化されたZ8。水中撮影で、その性能を余すところなく発揮させるべく開発設計されたのが、NauticamのNA Z8です。愛用する写真家・茂野優太さんに、使用感リポートをお願いしました。


作例1

●撮影データ f8 1/400秒 ISO400

Z8はコンパクトで機動性に富む最上位機種カメラです。ついにNikonのミラーレスが本気を出してきたぞ、と思わせる完成度の高さを実感しました。
陸上の写真家の方々がZ8をレビューする中で「Z8はD850のミラーレス版後継機」とか「Z9のコンパクト版」などと言われていますが、まさにその通りだと思います。

●ピントが驚くほど速い!

Z8を使う前はNikonのミラーレス機Z7IIと一眼レフ機のD850を水中撮影に使用していました。
写真の仕上がりだけを考えるとD850はピントが速く描写力も素晴らしいカメラですが、ミラーレスに比べ機動力に欠けます。一方、Nikonのミラーレス機は動くものへのピントの速度、そして正確性に難点を感じていました。その両者の不満が見事に解消されたのがZ8でした。
正確で素早いピントは水中撮影では特に大きな武器です。ピントが速ければそれだけシャッターチャンスを逃しにくくなります。
「いいシーンだったのにピントが外れていた」
「ピントが合わなくてシャッターを切れなかった」
水中撮影をする人は誰しも、そんな経験があると思います。
それが、まさにバチっとピントが来るようになったのがZ8です。D850に比べると正確性は若干劣りますが、ミラーレス機の中では速さ・正確さで群を抜いています。

作例2

●撮影データ f8 1/200秒 ISO500

この写真の「スジオテンジクダイのハッチアウトシーン」はナイトダイビングでFIX NEOライトのレッド光で撮影しました。レッド光は生態観察には便利ですが、やはりピント合わせは難しい色。それをいとも簡単にピントを合わせてくれました。
しかも、この写真はシングルフォーカス(点で合わせる方法)ではなくオートエリアフォーカス(iPhoneやGoProのように画面の目立つ部分に自動でピントを合わせてくれる手法)で撮影しています。ここまで進化しているのかと驚嘆するほどでした。
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●暗所でもモニターに明るく表示

作例3
●撮影データ f3.2 1/200秒 ISO8000

Z8にはスターライトビューというモードがあります。暗い場所で撮影する場合に、モニターに映る絵を明るくすることによって、暗いところでも構図や被写体を確認できるモードです。
ファインダーをのぞいても、状況がわからないような暗がりで撮影するにはスターライトビューが最適です。
特にナイトダイビングや生物にプレッシャーをかけないようにターゲットライトなしで撮影する際には威力を発揮します。構図が決めやすいだけでなく、被写体が見やすいということは、それだけピント合わせにも有利です。

●高感度に強くノイズが出にくい

作例4

●撮影データ f8 1/60秒 ISO2500

阿嘉島の洞窟で撮影したこの写真はISO2500ですが、ノイズがほとんど出ていないのがわかると思います。
水中撮影では動く被写体を狙うことも多く、三脚でカメラを固定するような撮影はなかなかできません。星空写真のようにシャッター速度を遅くして明るさを出す撮影は現実的ではありません。しかし、ISO感度をあげてもノイズが出なければ、暗いシーンを明るく撮影した新しい雰囲気の作品づくりができるかもしれません。ぜひ試してみたいと思います。

作例5

●撮影データ f8 1/200秒 ISO4000

アカオビハナダイの一斉産卵を大瀬崎の湾内で撮影しました。天候は雨。透明度は4〜5mほどで非常に暗い環境でした。
こういった状況ではシャッター速度を落として明るさを取り込みたいところですが、アカオビハナダイの動きが非常に速く、ブレてしまいます。これまでは、このようなシーンは背景を暗く落とすか、もしくは魚のブレを許容していたのですが、Z8では、高いISO感度を使うことによって、ブレもなく背景を落とすこともなく、明るく撮影できました。
さらに、最近ではLightroomなどの現像ソフトの進化も著しく、現像ソフトのノイズ除去機能などと組み合わせることにより、高感度撮影をより効果的に使うことができるでしょう。
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●取り回しのいいハウジングのサイズ感

作例6
●撮影データ f8 1/125秒 ISO500

Z8のカメラ本体は一眼レフ機のD850より若干小ぶり、ミラーレス最上位機種のZ9に比べるとひとまわり小さいサイズになっています。最上位機種とほぼ同等の機能がサイズダウンしたボディに収められている印象です。
とはいえ、NikonのZ7IIに比べるとひとまわり大きいのですが、Nauticamハウジングに入れたサイズはZ7IIとほぼいっしょです。NA D850と比べると小ぶりで、ハウジングが非常にコンパクトに作られています。水中のサイズ感はこれまで使ってきたハウジングと変わりありません。
ハウジングがボディサイズぎりぎりに設計されているので水中の取り回しもよく、トータルで使い心地の良さを感じました。

●使い手の立場に立った設計のハウジング

茂野さん愛用のNauticamハウジング NA Z8。


Nauticamハウジングの特長である堅牢性は信頼に値します。特にバキュームシステム・リークセンサーの精度は抜群で、今まで1度もカメラを水没させたことはありません。
水没のリスクを考えると、ハウジングを開閉する回数は少ないに越したことはありませんが、ミラーレスカメラの弱点はバッテリー持ち。僕は2ダイブに1度バッテリーを交換するようにしています。さらに、撮影内容によっては1ダイブごとにデータを取り込んで画像確認することもあります。こういう状況では、1日のうちに何度もハウジングを開閉することになります。
しかしNauticamハウジングは開閉用のロックレバーが開けやすく閉めやすい。またリークセンサーの操作もシンプルで、簡単に確認することができます。高価なカメラを扱う上で、このシステムは本当に大事です。

操作性という面ではNauticamハウジングのボタンの配置が絶妙に素晴らしいと感じています。たとえばZ8の再生ボタン(撮った写真を確認する)は右下にあるのですが、ハウジング内部の操作系統が工夫されていて、ハウジングに入れると左手のグリップを握ったまま再生ボタンを押せるようになっています。
これは水中でダイバーがどのようにカメラをホールドするか、撮影スタイルを熟知し考えられた設計です。意識しないと気づかないような、きめ細かなボタン配置や工夫がNauticamハウジングの操作性の良さを作り上げていると思います。


●動画撮影に強い

最後に、動画性能について、お伝えします。
Z8の動画の性能は今までのNikonのカメラとは比較できないほど進化しました。
まずは8K30フレーム、4K120フレーム、そして外部出力なしでRAW動画からLOG撮影まで幅広く進化しています。
さすがにRAW動画や8Kサイズでの撮影は一般のファンダイバーが多用することはないかもしれませんが、LOG撮影や8Kが撮れるがゆえのハイレゾズームという機能は非常に便利です。
LOG撮影をすることでコントラストの少ない映像を残すことができますし、カラーグレーディングの可能性を大いに広げることができます。水中で細かい設定を調整する手間が大幅に省けるのはありがたいことです。
そしてハイレゾズーム機能は単焦点レンズを使うことが多い水中では大いに役立ちます。電子ズームのようなものなのですが、8Kサイズの映像をトリミングする作業をズームのようにすることで4K映像を2倍までクロップしてズームすることができます。
そのためマクロ撮影などで60mmや105mmの単焦点レンズを使っている際に4Kの画質を落とさずに2倍までのズーム映像を撮影することができます。使いこなせば、かなりの効果を発揮することが間違いない機能です。

作例7
●撮影データ f8 1/160秒 ISO1000

●まとめ

総合的にみて、水中撮影用機材としてのZ8はNikonのミラーレス機の中では圧倒的にオススメです。
弱点を挙げるとすれば、小型ゆえにバッテリーの持ちの悪さでしょうか。2ダイブがっつり撮影をすると3ダイブ目は厳しいかなといったもち具合なので、途中でバッテリー交換をする必要がでてきます。Nauticamハウジングのリークセンサーの信頼性は非常に高く、安心してバッテリー交換ができます。
Z8とNauticamのハウジングの組み合わせは、スチル撮影でも動画撮影でも安心して使い込める水中撮影機材と言えるでしょう。


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